Interview

"つゆやきそば"会長 渡辺一央・ナベさん

ナベさんは、青森県黒石市のB級グルメ”つゆやきそば”の町おこし団体、”やきそばのまち 黒石会”の会長を務め、自らもドライブイン西十和田という店を切り盛りする。そんな忙しい中で、八甲田を滑るローカルスノーボーダーでもある。スノーボードに対する熱い気持ちを持ち、ヨコの繋がりを沢山持ち、若い世代に八甲田の魅力を伝えていこうとするナベさんに話を聞いた。

お店の前で渡辺一央

 

━━━ナベさんの冬の1日はどんな感じで進んでいくのですか?

  • 朝は店の仕込み、雪が降ったら駐車場の雪かきですね。広いので1時間くらいかかります。8時には家を出て八甲田へ向かい、11時まで3〜4本滑って、昼には帰って仕事って感じですね。朝早いとお客さん来ないので、昼までに帰ってこれば良いみたいな感じで滑らせてもらってます。(笑) それを毎日ですね。

━━━ほぼ毎日滑ってますよね。

  • 家から30分以内で着くんで、近いんですよ。
 
つゆやきそば

ウチの店は太麺では無いんですけど(笑)

━━━つゆやきそばの会長さんだとお聞きしましたけど
  • そうですね。”やきそばの町 黒石会”っていう団体の会長してます(笑)黒石の町を元気にしたいので、『 "つゆやきそば" で町おこししよう』!ってやっていて、B1グランプリにも参加してます。
  • 昨年は震災があったので『炊き出しで協力できるね』って、東北を回りました。その時、『"つゆやきそば"知っていたけど、食べた事無かった。』って、喜んでもらえたのは良かったですね。
 
つゆやきそば協会

 
━━━"やきそばの町 黒石会"の会長のお仕事は、どんな事をするんですか?
  • 僕は鉄板で焼いてる人達の後ろで、適当な事ばっかり言っているだけです。(笑) 地元でイベントやる時は、色々な所へお願いしに行ったりします。後は月に1回、会議がありますけど、結構イレギュラーで会議が入ってくるんですよ。それを冬はやめてよーみたいな(笑)

━━━じゃあ、ナベさんは、ずっと黒石の地元っ子?

  • 実は、僕Uターン組で、5年前に東京から帰って来たんですよ。10年くらい地元から離れてました。スノーボードと料理の修行で。帰って来てからは、5年が経ちますね。

━━━地元から離れてた次期もあったんですね?

  • 10年前に新潟3年、その後、北海道に3年山籠りしてました。新潟に居たときはスノーパーク全盛期でした。ニセコに初めて行った時は、フリーラン下手な自分がいて、これヤバいなって思いましたね。それでニセコに3年間籠って、そのうち、そろそろ実家も継がないといけなくなって、東京のラーメン屋に修行しに行って、山は通いで滑ってました。その当時は悶々としてましたよ、東京には雪ないなって(笑)
パークを滑っていた頃の渡辺

━━━それで地元に帰って来て、『八甲田に行くか。』ってなったんですか?

  • そうですね。ニセコでフリーランにハマってからは、『そうだ!帰れば八甲田があるんだ!』って、じゃあ八甲田楽しもうって、帰って来ました。でも、最初は知っている人も居ないし、八甲田は何処も分からない、1人でバックパック背負って、滑っては雪にハマって、ボロボロでした。そのうちローカルの人達と仲良くなって、『あっ、八甲田楽しいな』って思ったんですね。地元に八甲田があったのはラッキーでした。(笑)

━━━徐々に、八甲田が楽しくなっていったんですね。

  • はい。最初はコースしか滑ってなかった。徐々にフィールドを広げて来た感じですね。最初は、『えっ‥コースはポールしか目印ないんですか?』みたいな。(笑) あぁ、山だなって思いましたね。でも、それがかえって勉強にもなりました。八甲田って、コース滑っていても迷いそうな時あるんで、これはしっかり地形を覚えないとなって。
 
八甲田を滑る渡辺

 
━━━どうやって地形を覚えて行ったんですか?
  • ローカルの先輩に付いて行って、教えてもらったりですね。後は、滑るライン取りを失敗した時に覚えましたね。ここは来ちゃダメだなって(笑) 普通なら2時間あったら3〜4本滑れるのに、1本だけしか滑れなかったりとか、更に、ほとんど滑らずに歩いているみたいな。(笑)今はもうパウダーボードで滑ってますけど、その頃はそれほど浮力の無い板で、後ろ足プルプルさせてました。(笑) 八甲田は、山に合ったボードで滑って面白いんだって、板や地形も大事なんだって気づかされました。それもローカルの先輩から教えてもらった感じですね。それに、この山ってストック持ちながら滑りますからね。ここの山は特殊だなって思いました。

━━━何年目くらいから、山の状況に応じて滑れるようになりましたか?

  • 1〜2年目まではもがいてました。3年目からかな、状況に応じて滑れるようになったのは。友達と一緒に居ても『面白い所あるよ』って言えるようになりましたね。
 
青森のスノーボードチーム上映会

青森のスノーボードチーム自作フィルム上映会

━━━ナベさんはいろんな人と滑ってますよね。
  • 東京の時の友達だったり、知り合った、その人が友達多かったりとかですよ。それと、青森ってスノーボードチームが結構あるんですよ。各自、自作のDVD作っていて、『それ集めて、スノーボード・フィルムセッションしようよ』って、以前、イベントを4年間やりました。当時100人くらい集まってましたね。そうゆうので、こっちの若い人達とのヨコの繋がりは、出来たかなって思ってます。

━━━若い世代の人達は、八甲田の事をどう感じてるんですか?

  • イメージは悪いですね、やっぱり遭難や事故、雪崩で。人も亡くなっている山なんで。そうゆうイメージが強いですね。あと八甲田の厳冬期って晴れないじゃないですか。吹雪いてて、前見えないみたいな。

━━━八甲田はどっちかというと”山”ですよね。遭難など危険性は当然ありますよね。

  • そうですね。だから一緒に滑る人には本当の事も伝えています。『事故も遭難もあります』って。
  • 一緒に滑るなら、危険な事もあるんだよって、分かってもらってから一緒に滑ってますね。結局山って、1回や2回滑るくらいじゃ、何も分からないじゃないですか。そこを省くんじゃなくて、挑戦していけば、絶対ハマると思うんです。僕が経験して来た事とかを話しつつ、一緒に滑って次の週とかに『パウダーボード買っちゃいました』ってくると、『あっ、コレって有りなんだ』って。結婚して、子供できて、『ボードやめちゃいました』って人、結構多いんで。僕と滑った事で八甲田を好きになってもらえればいいかなって。ガイドってほど大げさなモノじゃないですけどね。もちろんルールはあります。ルールを守って上手くやって行けば、やめなくてもずっと滑って行ける場所だと思うし。
 
ローカルの集い

━━━ナベさんは八甲田のどんな所に引かれたのですか?

  • 毎日パウダーという所ですね。厳冬期は降雪が無くても、ノートラックがどこかに残ってますから。
  • たまにオープンバーン滑りたくなりますけど。(笑) 吹雪いてたら、オープンバーンは何処滑っているのか分からなくなりますしね。八甲田のツリーランは木の間隔が良いし、視界も確保できますから。
  • パウダー滑るのには困りませんよ。

━━━最後に、ナベさんにとって八甲田はどんな場所なのか聞きたいんですけど。

  • 人とも繋がるし、自然とも繋がるし、滑る環境が良いですね。スノーボードと人生の修行の場所ですかね。仕事が忙しくなって、今より滑れなくなっても、どうにかして滑りますよ(笑)

━━━ありがとうございました。

渡辺一央

 

ドライブイン西十和田

住所:青森県黒石市温湯長漕7-4

営業時間等

定休日 : 不定休(月1回水曜日) 営業時間 : 9:30〜19:00
電話 & FAX : 0172-54-8134

渡辺一央
八甲田まで30分圏内に住むローカル。やきそばのまち黒石会の会長としてつゆやきそばを広める。彼のアテンドで良い雪を当てれた。