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八甲田ガイドクラブ隊長、相馬浩義インタビュー(下)

相馬浩義。ガイドを始めて27年、八甲田山を知り尽くす男。(上)はガイドを初めた頃の話や、スノーボードのルートを開拓した頃の話などを聞いた前回の続き(下)ではガイドの事や八甲田山の事を聞いている。

春の滑走ライン

━━━今、ガイドはどんなお客さんが多いのですか?

  • スキーヤー6割、スノーボーダー4割くらい。ただ、両方やる人もかなりいる。八甲田山以外にもいろんな山域で滑っているみたいだね。でも基本的には常連さん。スノーボーダーに関しては一時増えたけど、今はまあまあかな。以前は、山岳地帯を滑るという事が、スキー業界的には一般的ではなかったけど、今は嗜好も多様化してきたからね、『バックカントリー』なんて言い方も印象は良いかもね。ただ、なかなかこんな雪を経験する事ができないし、限られた時間しかない人達にとって、山やパウダーに慣れるまでは時間かかるよね。

━━━慣れない人は、八甲田を滑るのって大変なのですか?

  • それは、ガイドのルートファインディングで左右される。何処をどう滑るか、ツアーの出発場所から到着地点までイメージしおかないと、お客さんに余計な体力使わせてしまったりするからね。ちょっとした事がえらい労力になってしまう。『バックカントリーは初めて。』というお客さんは、ドキドキもんで来てくれるわけでしょ。

━━━そうゆう人達を楽しませてナンボだと。

  • そうそう。それと、始めて来た時にしっかり滑れなかった人達が、もう1回来てくれた時に上手になってる。そうするとすごく嬉しい。前回よりいいカンジになって、お客さんも楽しめるし、滑りとか、山に対して成長していくから、余計に楽しい。それで更に山が楽しくなってしまう。初めて来た時はあんまり滑れなくて苦労する人もいる。それは誰もが通る道でしょ?『もうちょっと滑れるようになれば全然景色違うし、もっと八甲田楽しめますよ。』『だからもう1回来て下さい』って言う。それでまた来てくれて、前より増して楽しそうな顔見るとね。この仕事してて嬉しいって思う時だね。

━━━ガイドクラブの1日はどう進んでいくんですか?

  • 事前予約もあるけど‥‥あまり無いかな。事前予約の人は、八甲田山荘に泊まる予約と一緒にガイドの予約をする人が多いね。当日受付は朝8:30まで、その後9:00のゴンドラに乗るって感じだな。それで参加者の名簿見ながら、ルートを決める。勿論、気象条件はルート選択の大きな要因。個人的に、今日はあそこでしょ!という時もある。その時はお客さんに『頑張って下さいね』って(笑)

━━━どこから来る人が多いですか?

  • お客さんの割合で言うと、やっぱり関東周辺の人が多い。関西から来る人もいるね。関西からだと八甲田って来やすいんだよ。大阪から飛行機で1時間30分位、空港からも40分くらいで八甲田に到着するから、午後から滑れる。近県の人も来てくれる、岩手、秋田‥そう、以前は西表島から来てくれた人もいたよ。日本全国だね、ありがたい!
 
ガイド中

 
━━━少し話しを変えますが、八甲田の山の危険度って高いんですか?雪崩とか?
  • 山の危険度が高いか低いかは表せないと思うよ。時々の状況で変わる。人的な要素もあるし。ただ、ある山域での特徴的な要因は存在する。土着のガイドはそのことに精通してないとね。あたり前の事だけど、今日はピークからドロップしようって確信的に行けるのは楽しい。判断をする事がガイドの仕事なんだけど、その材料や情報はしっかり持ってないと。それは個人で入山する人も同じだと思うよ。

━━━そうですね。そこの判断はとても重要ですよね。ガイドは人の命を預かっていますし。

  • そうだね。雪崩以外の事故では、木に衝突してどこかを痛めるのが多い。木々の間を滑るのは、オープンバーンと違った楽しみがあるんだけどね。
 
ガイドの講習

八甲田連絡会・講習会の様子


 
━━━ シーズン頭に 雪崩、レスキューの講習を ガイドの人達は毎年してるそうですね。
  • 毎年やってるね。あれのきっかけは、ここで4年前に雪崩事故があって、それから、もっとガイドのヨコの関係を、密にしていかないとって言うので始めたんだよね。それまで八甲田をまとめるガイド組織がなくてね。その事故をきっかけに八甲田連絡会ってのが出来た。会社は違うけど、やってる事は一緒だし。その役割のひとつが、シーズン始めに集まって講習会を開こうって、自分達のガイドのスキルを高めていこうってやってる。もちろん意識もね。
相馬浩義

相馬浩義
八甲田ガイドクラブの隊長。ガイド歴27年の大のベテラン。八甲田山のスノーボードのルートを構築するなど、八甲田山を知り尽くす男である。今作では様々なアドバイスを貰う。八甲田を語る上では外せない人物。
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