director voice03

どうやって撮影をしていったのか

沢の名前と撮影ポイント。

 


 
谷川岳で作品を制作する事は決めた。ただ制作すると言ってもたまに来ていた谷川岳のフィールドを、僕はほとんど把握できていなかった。ローカル同士が谷川岳を滑る時、だいたいの会話で何処の沢を滑るのか分かるみたいだが、最初僕は全く分からなかった。谷川に滑りに来たお客さん。まぁ当たり前である。
 
まずは地形の把握。そこからスタートした。これから長い撮影の中で、撮影隊を含めたクルー全員が滑る場所を正確に把握出来ていないとカメラ位置なども困るし、山の事も話しづらい。山の地形を正確に知るために、そして会話もしやすいように滑る斜面に自然と名前が付いていった。元々ローカルが名前を付けていた斜面もあったが、その他は滑るたびに名前が付く。壁に三発あてこめる斜面は、”三発”。パイプみたいなリップが出来る沢は、”パイプライン”。雪の状態が常に良いオープンバーンは、”裏切らないオープン”。”素晴らしきオープン”なんてのもある。その他にも、”ゲート”や”三角”大きい斜面にも”スパイン”・”パックマン”・”夢の舞台”などなど。丹念に斜面を見続け、僕は知らなかった谷川のフィールドを徐々に正確に把握していった。
 
次に撮影ポイント。谷川岳は、常に雪崩やスラフの事を気にしながら滑る。途中で止まる時も安全な場所じゃないと、もしもの時に雪にさらわれる。沢の中、真下などは絶対にムリ。基本撮る場所は安全な尾根の上。最初の頃は、毎回滑らずに尾根上から沢の中をひたすらチェックしていた。そうすると徐々にどんな沢の形状か把握出来て来る。そしてここから撮ってみたいなという衝動も出て来た。この頃になるとだいぶ地形は頭の中に入っていた。
 
最後に時期と時間。谷川岳の斜面は基本的に夕方の光が届く斜面が少ない。昼前から昼過ぎまでの光で主に撮影することになる。1月から3月くらいまでの時期は太陽の位置も結構変わるので、数年かけて斜面の日陰具合、光具合などを観察する。上手く行ったか行かなかったかは別にして、最終的にはそこまで考えながら斜面をねらう事ができた。ただ、毎回天候も時期も違うので、曇った時はココ違うなーってなったり、雪の状況で今回の撮る位置はコッチじゃなかった。というのは常にあった。ほぼ失敗ばっかり繰り返していた気がする。八甲田も撮影が難しいなと思ったけど、谷川岳も結局の所難しかった。地形、天気、山の状況、雪の状況を考慮すると、撮影って実は何処の山でも難しいんだなと再認識。これは!っていう映像を山は簡単には撮らしてくれない。

製作秘話1
 
初めての谷川岳

 

製作秘話2
 
作品を作ることにした経緯
 
製作秘話3
 
どう撮影したか?
 
製作秘話4
 
1番巨大な斜面
 
製作秘話5
 
選ばれた日
 
製作秘話6
 
作品の構成