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今までの中で1番大きな斜面

ローカルが狙う谷川岳

 


 
谷川岳の大斜面。年によっては滑れない状況のラインもある。そんな大斜面にローカル達は毎年挑んでいた。そう、今作の見所の大斜面。僕にはこの斜面がくせ者だった。今まで撮影した中で1番広く、大きく、長い距離。谷川岳の南斜面を初めて撮影したのは2010年。まったくどう構えれば良いか分からなかった。とりあえず人が小さいし斜面デカすぎ!アングルの決めポイントすら分からない。隣のフォトグラファーの板倉さんやHi-seeさんに『ムズイっす』って最初の頃は愚痴をよく言った。
 
大斜面の撮影の流れ。まず、撮影前日までに気になる所をライダーと確認しあう。写真を見ながら気になる箇所、当日伝えて欲しい箇所を最終確認する。とはいいつつも当日、クラックや破断面など状況は刻々と変わっているもので、前日より広がっていたり、雪がズレていたりする事もある。『あのズレ前なかった』なんてこともしばしばある。それでも、やっぱり前日までの話し合いが重要で、斜面が大きいので気になる場所が互いに分かっていないと会話にならない。アノ木やコノ岩ではまず会話が噛み合わなくなる。『??? それって何処?』って。a-1・a-2・b-1などやスパインやパックマン。ライダーと付けた名前を元に状況報告と確認。大斜面じゃなければこんなに難しくないんだけどなーと思いながらいつもアテンドしていた。そして当日ライダーは山に登って行く段階で、雪の状況を確認し把握していく。
 
僕はこれからの天気の状況、雲のながれる方角、どこ向きの斜面に雪崩が発生してるとか、クラックの場所、気になる所。僕の持っている情報は全てライダーに渡し、前日までの雪の降り具合、今の雪の沈み具合などを考慮して、最終的にライダーが行くか行かないかを判断する。ライダーは滑りで、僕は撮影で、最高の1本を狙う時が来る。コノ瞬間、緊張感あります。でも冷静に。
 
そして、ライダーが滑っている時、とりあえず仲間を信じる。僕は毎回見守る事しかできない。最初の頃は無駄にドキドキばかりしていた。その頃は、こんな大きな斜面を相手にした事もなかった。何回も大斜面にアタックして、成功や失敗・敗退などを経験して、ライダーも僕も成長していった。撮影終盤の頃にはそれほどドキドキはしなくなっていた。滑っているライダーを信じてたし、クルーと自分を信じてた。現場にいると成長出来るんだなーって思います。
 
僕は、谷川岳で色々な事を学びました。ただ皆の無事を祈るのは、結局最後まで変わらなかったな〜。

製作秘話1
 
初めての谷川岳

 

製作秘話2
 
作品を作ることにした経緯
 
製作秘話3
 
どう撮影したか?
 
製作秘話4
 
1番巨大な斜面
 
製作秘話5
 
選ばれた日
 
製作秘話6
 
作品の構成